こんにちは、作業療法士の山口健一です。早口言葉は、道具をそろえなくても始められる言葉遊びです。ただ、高齢者のレクリエーションで大切なのは、速く言うことより、無理なく参加できることだと考えています。
この記事では、ゆっくり読める例題と、短い時間での進め方を紹介します。早口言葉を行えば認知症を予防・治療できるという説明はしません。声を出したり言葉の響きを楽しんだりする活動として取り入れましょう。
目次
最初は「生麦・生米・生卵」を区切って読む
生麦 生米 生卵
なまむぎ なまごめ なまたまご
いきなり続けて読むのではなく、「なまむぎ」で一度休み、「なまごめ」「なまたまご」と区切ります。職員が一つ読んで、希望する方が続ける方法でも大丈夫です。
間違えたときは、本人が楽しんでいるかを見ます。周りが笑っていても、本人が困っていたり恥ずかしそうにしていたりするなら、話題や進め方を変えます。
使いやすい早口言葉の例
| 例題 | 取り組み方 |
|---|---|
| 生麦・生米・生卵 | 3つの言葉を区切り、ゆっくり1回ずつ |
| 赤巻紙・青巻紙・黄巻紙 | 色の名前を確認してから読む |
| 隣の客はよく柿食う客だ | 「隣の客は」「よく柿食う」「客だ」に分ける |
難しさには個人差があります。すべて読む必要はなく、気に入った一つだけでも構いません。回数や音量の記録で競争させるより、「もう一回やってみますか」と本人に選んでもらいましょう。
5分で行うなら、この流れ
- はじめの1分:姿勢と体調を確認し、「速くなくて大丈夫です」と説明します。
- 次の1分:職員が短い言葉をゆっくり読みます。
- 次の2分:希望する方と一緒に、区切って1回ずつ読みます。途中で休みます。
- 最後の1分:「どの言葉が面白かったですか」など感想を聞き、終了します。
時間は進行の例です。疲れた様子があれば早めに終えます。速さを上げる段階を必ず設ける必要はありません。
「できない」を目立たせない声かけ
「簡単なのに」「もっと速く」と言う代わりに、「ここで一度区切りましょう」「今日は聞くだけでもいいですよ」と、参加方法を選べるようにします。
職員が言いにくさを共有すると、緊張がやわらぐこともあります。ただし、参加者の失敗を笑いの材料にしたり、わざと間違えるように求めたりはしません。拍手も、本人が喜ぶかどうかを見ながら行います。
言葉が出にくい方や話しにくい方には、発声を強制しません。文字を指さす、聞いて楽しむ、別の活動を選ぶなど、ご本人の希望と普段の支援方法を優先します。
口の不調があるときは無理をしない
口やあごの痛み、義歯の違和感、むせ、咳き込み、息苦しさなどがあれば中断します。義歯が合わないまま大きく口を動かすことを勧めず、歯科医師などへ相談してください。飲み込みや発声の支援を受けている方は、担当の専門職に適した方法を確認します。
食べ物や飲み物を口に入れたまま行わないようにします。また、転倒が心配な方に歩行や立位を組み合わせる必要はありません。安定した姿勢で、言葉遊びだけを楽しむ形で十分です。
認知症予防の効果と、レクの楽しさは分けて考える
口の健康、音読、運動と認知課題の組み合わせなどを扱う研究があっても、それだけで早口言葉の認知症予防効果が確立したとはいえません。「脳に効くから速く言いましょう」と勧めることは避けます。
この時間の目的は、治療の代わりにすることではなく、言葉を声に出して楽しむ機会をつくることです。うまく言えたかだけでなく、「負担がなかったか」「また参加したいか」を見ながら続けてください。
別の言葉遊びには、言葉探しプリントや文字並べ替えプリントもあります。声を出す活動が合わない日にも選べます。
元記事:「認知症予防に早口言葉がいい」って本当?(山口健一)。本記事の進行・声かけは実践のための例です。

