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心身機能が向上する介護施設の生活リハの環境設定

いつも読んでいただき誠にありがとうございます。
日常生活を楽しく過ごせるよう日々工夫をしているアイデアわくわくリハビリの山口です!

今回は、介護施設における環境設定について、お話したいと思います。

介護施設の環境設定について

介護施設の生活リハの環境設定と聞かれて、何を思い浮かべますか?

基本動作の向上ができ、ADL改善が期待できるマシンの設置、運動の種類がたくさんできるサーキット環境でしょうか?

それともキレイな椅子やテーブル、品揃えが豊富なドリンクサーバーなど思い浮かべますか?

もちろん、ハード面の充実は重要なことですし、その施設の魅力ですよね

今回は、作業療法士としてお伝えしたいことは、

ご高齢の方が安心できる環境設定することが生活リハになり、自宅でのADL・IADLの維持・向上につながるのです。

その環境設定についてお話をしたいと思います。

自分がやってきた生活リハの環境設定の失敗と成功について語りたいと思います。

安心できる環境設定

では、安心できる環境設定とは?

ちょっと、考えてほしいのですが、

例えば、爪を切りたいと思った時に爪切りがなかったら、不安になりますよね。焦りますよね。

ここに置いてたはずなんだけど・・・・と思うはずです。

しかし、ありません。

そうならないように環境を整えることが安心になり、生活リハになります。

ADLやIADLは常に自分で実行していないと能力は低下してきます。

ですから、能動的にやれる環境を設定することが大切です。

それに90歳のご高齢の方で一人暮らししている方の自宅内の環境設定がキレイに整えている方は、ADL・IADL能力が維持されていますね。

ご自宅に行くとテーブルの上がキレイに整理整頓されています。

リモコン、爪切り、綿棒、メガネ、薬、ティッシュなどなど生活に必要なものが分かりやすく整理整頓されています。

病院のデイケアに勤務していた時、このようにすれば、通われている方が安心してIADLの練習が自然とできると思いやったことがあります。

ただ、成功もありましたが、失敗もしました。

それから学んだ成功と失敗についてお話しますね。

当時の僕は、作業療法士として、通われるご高齢者皆さんの生活リハ促進のためにテーブルの上にティッシュやゴミ箱以外に爪切りや綿棒、メガネ拭き液と布、爪楊枝、ホコリ取りのミニローラーを設置しました。

当初は、『便利なものがあって助かる』『過ごしやすくなりました』『ちょっと頼めなかったことが手届くところにある良い』という感想もあり、活動量は向上しているなと思っていました。

その半面、トラブルもありました。

例えば、爪楊枝。

食事の後に歯の隙間に入った残渣を取り除くのに便利と男性利用者さんから言われてたのですが、女性のご利用者さんからは、『まだ、食べているのに爪楊枝でしーしーされたら気分が悪くなる』って言われました。

それはそうです。

誰もがそうですよね。他人の歯の手入れを目の前で見たい人はいません。

結果、爪楊枝は置かないようにしました。

ちなみに綿棒も一緒の結果でしたね。

次に爪切りです。

爪切りは視力が良くて1人で出来る人には、重宝されました。

視力の影響で手元が見えない方には、不向きでしたね。

使ってもらえませんし、利用者さんに『ちょっと、これで爪切りしてよ』とか言われてナースの方が順番にケアにあたっているのに声がかかる。

そうすると自分が思っていたようにケア業務ができないとベテランの看護師の方から言われました。

ごもっともな意見です。

そうなんですよね。使用頻度と安全性を考えるとテーブルに置くべきじゃないなと反省し、テーブルに置かないようにしました。

働く職員の方も気持ちよく働けるようにしないといけないと反省しました。

利用者さんの活動量向上ばかり考えた結果、失敗してしまいました。

反応が無い方が『ちょっと〇〇』と言ってくれたから良いのでは・・・と思いましたが、やはり反省しました。

何事もポジティブに思える職場環境が整えきれてなかったと反省しました。

次にホコリ取りのミニローラーです。

これも一緒ですね。食事の時間帯に使う方がいると『食べているのにホコリが飛ぶじゃない。やめてよ。』ってなりましたね。

結果、置き場所の再検討です。

適正なモノの設置方法

良かれと思ってしたことが、ある人にとっては、迷惑ということを学びました。

それと適材適所ということを学びました。

決して、爪楊枝や綿棒やホコリ取りミニローラーや爪切りが悪いわけではないのです。

その失敗を教訓に

綿棒は洗面所の脇にアメニティとして置くようにしました。

入浴後、整髪もし、その後、綿棒も使われていましたね。

綿棒の置く場所は洗面所ですね。

次にホコリ取りミニローラーは玄関、入り口付近、荷物置きに設置するようにしました。

身なりを整える道具ですから、身なりを整える場所で使われます。

そのような場所に置くと皆さん、安心して使われていましたね。

このように物を適材適所に置くことでクレームは減りましたし、活動量は向上しました。

できることが増えて笑顔も増えました。

そして、職員さんともコミュニケーションが良くなりました。

ベテランの職員さんから『これをなんでテーブルの上に置くの!業務の邪魔よ!』って言われてへこみましたが、気がつけたことがありました。

ベテランの職員さんも批判したくて言っているのではないということがわかりました。

ベテランの職員さんは常に効率的に業務のことを考えておられます。

もちろん、利用者さんファーストにですよ。

だからこそ、きつい言葉もでる。一所懸命にやっているから出る言葉がある。

自分がそのことに気がつけて本当に良かったです。

だって、僕のイニシャルはKYだからですね。

そして、何事もポジティブに思える職場環境(教育・勉強会)を整えることの大切さを知ることができました。

参考書籍

この書籍は認知症の方へプログラムや環境調整について分かりやすく書かれています。

理論やエビデンスを詳しく説明していますし、実行しやすい方法も教示されています。

ぜひ、お手元においておきたいバイブルですね。


認知症の脳活性化プログラム・レシピ―すぐできる介護予防・短期集中リハビリテーション

まとめ

心身機能が向上する生活リハ環境設定はいかがだったでしょうか?

何かをする時にはいろんなことが起きることを学びました。

このようなことも想定しながら、生活リハの環境設定をすることが大切ですね。

皆さんで働く職場ですから、誰しもが気持ちよく通える場所を整えていくことが大切ですね。

環境調整は適材適所を考えて皆さんで話し合って決めていくことが大切です。

僕みたいに突っ走らないようにすることをオススメします。

この記事が介護施設に通われる方々(高齢者)のADL・IADLの維持・向上につながるヒントやきっかけになったら嬉しいです。

職員さんのやりがいや生活リハの環境調整に少しでも役に立てたら幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございます