食事、入浴、排泄の介助が続き、レクリエーションの準備まで手が回らない。「介護業務とレク、どちらを優先すればいいの?」と迷う日もあると思います。
急な体調変化や安全に関わる対応を優先し、その日の人数・体調・人員に合わせてレクの内容を変える。私は、この順番で考えるのが現実的だと思っています。大きな集団レクを毎日予定どおりに行うことだけが、よい支援ではありません。
作業療法士の山口健一です。元のnoteで書いた「どちらの業務も大切にしたい」という考えを、忙しい日の判断に使える形で整理しました。
目次
「介護かレクか」の二択にしない
食事や排泄など、その時に必要な支援を後回しにしてまでゲームを続けるのは適切ではありません。一方で、毎回「忙しいから」で楽しみや人と関わる機会が消えてしまうなら、仕組みを見直す余地があります。
利用者さんが何をしたいかを聞き、その日の生活の中で実現できる方法を探します。「全員で30分のレク」だけでなく、一人で眺める、少人数で話す、準備を手伝うなど、関わり方には幅があります。
忙しい日の優先順位を決める3つの確認
1.今すぐ必要な支援があるか
体調の変化、転倒などの事故、急ぎの介助があるときは、その対応と職場の連絡手順を優先します。レクを担当している職員が抜ける場合は、残った人が無理なく見守れる形にするか、中断します。
2.安全に続けられる人数と方法か
見守りが必要な人が多いのに、進行役一人で移動を伴うゲームを行うのは無理があります。座ったままでできる活動へ変える、グループを小さくするなど、現場で実行できる方法に調整します。
3.本人が参加したいか、疲れていないか
予定表より、目の前の人の希望と様子を大切にします。参加を望まない人に「せっかく準備したから」と強く勧めないこと。見学や休憩も選べるようにします。
5分に縮めるなら「一つだけ楽しむ」
忙しい日に何種類も詰め込むと、説明や片づけが増えます。短い活動にするなら、今日は一つだけと決めてみましょう。以下は実施を考えるための例で、効果が保証された訓練メニューではありません。
- 季節の言葉を一つ出して、思いつくものを話す
- 写真を一枚見て、話したい人の思い出を聞く
- 言葉の穴埋めを一問だけ、一緒に考える
画面を使う場合は、文字が見えるか、操作が伝わるかを先に確認します。「正解するまで終われない」にせず、本人が疲れたら切り上げられる進め方にしましょう。ゲームの途中でやめる際は、端末の操作方法も職員が把握しておきます。
職員には「頑張って」より変更内容を伝える
「今日は忙しくてもレクをお願いします」だけでは、何をどこまで行うのか分かりません。目的、時間、担当を短く共有すると、引き継ぎやすくなります。
声かけ例:「今日は介助が重なっているので、言葉遊びを一問だけにします。進行は私が担当します。参加中の様子で気になることがあれば教えてください」
これは説明用の例です。実際には人員配置や職場の手順に合わせます。対応できない日は、代わりの担当者へ無理に押しつけず、管理者と内容や時間を調整してください。
協力をお願いする具体例は、レクに職員の協力が得られないときの工夫でも紹介しています。
レクが苦手な職員を、意欲だけで評価しない
人前で話すのが苦手でも、用具の準備や一人ひとりへの声かけが得意な職員はいます。「やる気がない」と決める前に、負担や得意な役割を確かめたいところです。
私自身は、できる工夫を一つ見つける姿勢を大切にしています。ただし、前向きな言葉だけで人手不足や疲労を解決できるわけではありません。必要な休憩、業務の整理、担当の偏りを減らす相談も欠かせません。
終わった後は「予定どおり」より本人の様子を残す
記録には、実施した内容に加えて、本人の言葉、参加時間、休憩した理由などの事実を短く残します。「成功・失敗」だけで評価せず、次回の調整に使える情報にしましょう。
レクを短くした日は、「今日は何もできなかった」ではなく、「今できる形で何を支えられたか」を振り返ります。安全な生活を支えることと、楽しみの機会をつくることを、チームで両立させていきたいですね。
