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今回は、重度認知症の人が安心して食事がとれる介助方法9選についてご紹介します。
目次
重度認知症の人が安心して食事がとれる介助方法について
重度認知症の人が安心して食事がとれる介助方法とは?
重度認知症の人が安心して食事をとれるためには、
なぜ、食事がとれていないのか原因を考えるよう必要があります。
下記に食事がとれない原因について考えられることを書いていますので参考にしてもらえたら嬉しいです。
重度認知症になると今までできていたことができなくなり、物の認識力が低下します。
また、動作の手順がわかりにくくなり、日常生活動作に介助が必要となります。
ということは、いろんな機能が低下し、様々な障害がある状態なのです。
重度認知症の人はいろんな原因が重なって食事がとれないことがあります。
なので、以下の原因を念頭に置きながら、重度認知症の人に合った食事介助方法を提供することが食事摂取につながります。
食事がとれない原因の種類について
- 失行
- 失認
- 便秘
- 気分の落ち込み
などがありますので詳しくは下記にご紹介します。
次に、重度認知症の人が安心して食事がとれる介助方法について
- 一つずつ出す
- 食材を伝える
- 口腔体操・運動をする
- 食事形態を変えてみる
- 場所を変える
- 環境調整する
- 後方から食事介助する
- 一緒に食事する
- 口角を下方・側方に下げる
を詳しく下記からご紹介します。
食事がとれない原因について
認知症の人が食事を食べない原因は食欲が低下しているだけではありません。
自分の意志を言葉で表現することが難しくなってきた状態では、さまざあな原因を考え、動作観察、表情観察を合わせて対策を考えなくてはいけません。
まずは、認知症の人が食事をとれない原因を考えていきましょう。
失行
失行とは、身につけた一連の日常動作手順がわからなくなってしまった状態を言います。
例えば、ご飯を食べるという動作の場合
- お茶碗を持ち、
- 箸でご飯をつまみ、
- ご飯を口まで運ぶ、
- 口を開ける、
- ご飯だけを口に含み咀嚼する、
- 咀嚼ができたら、飲み込む
などの動作がわからなくなって食べれないことがあります。
しかし、すべてを忘れているとは限りません。
なので重度認知症の人の食事動作のできなくなった部分を介助したり、眼の前で食事する動作を見てもらったりすることで食事がとれることがあります。
失行が原因の場合は、下記の②食材を伝える、⑧一緒に食べるなど介助方法が効果的と考えます。
失認
失認とは、目に見えているモノがわからなくなる状態です。
例えば、食事の際に
- ご飯がわからない
- お肉がわからない
- お吸い物がわからない
- 箸がわからない
などモノの理解力が低下している状態です。
食事やモノの理解が低下している時には、そのモノが何かわかるような関わり方・ケアが必要です。
下記の①食材を一つずつだす、②食材を伝える、⑥環境調整する、⑧一緒に食べるなどが効果的な介助方法になりますので、試してみてください。
便秘
便秘が原因で食事がとれなかったということがあります。
便秘は腹部のはりや表情を観察、排便記録などを確認することで食事改善につながります。
腸の蠕動運動が改善されると便秘が解消されて、食欲もアップし、食事がとれるようになることがあります。
当ブログで排泄の基礎知識と排泄がしやすい方法について書いた記事がありますのでこちらも参考にしてください。
気分の落ち込み
高齢になると意欲の低下をきたすことがあります。
意欲が低下すると食事に集中することが難しくなったりします。
食べたいという意欲も減ってきます。
その背景には、十分な活動がなされていないことも考えられます。
また、それに加えて高齢になると若い頃よりも味覚機能が低下し、食事が美味しいと感じにくくなります。
そのような状態が続き、食事を十分な活動や運動ができていないとさらに食事はとれていないということになり、味覚機能、食欲は悪化していきます。
食事をとらないことで気分の落ち込みも改善しなくなります。
対策としては、体を動かすことで気分の落ち込みの改善も期待できます。
午前中の散歩、レクリエーション、歌体操などが効果的です。
重度認知症に特化した記事ではありませんが、この記事のレクをアレンジしていただくことで重度認知症の人にも効果的なレクリエーションが行なえますのでご紹介します。
食事がとれない原因のまとめ
上記のような原因が影響し、食事がとれないことがありますので原因を探りながら重度認知症の人に合った食事介助方法を提供していきましょう。
下記に認知症の人が安心して食事がとれる介助方法についてご紹介します。
重度認知症の人が安心して食事がとれる介助方法9選
次は、重度認知症の人が安心して食事がとれる介助方法についてご紹介いたします。
一つずつ出す
食材をいっぺんにたくさん出してしまうと、どれから食べればいいのかわからず悩んでしまい食事がとれない認知症の人がいます。
この時に食事に注意力や集中力が低下していることが考えられますので、
そのような時は、介助者が食事を一つずつ渡し、食べてもらうようにします。
どれを食べたらいいのかサポートしてもらえたら食べれる認知症の人もいますので試してみてください。
食材を伝える
失認が影響して、食材がわからない方にオススメの介助方法です。
介助者が『ご飯、どうぞ』『お肉、どうぞ』と食材がわかるように言葉で伝えてながら食事介助すると食べれることがあります。
言葉の理解ができなくても介助者の動作や表情から重度認知症の人が『食べ物なのね』と認識ができれば食べてもらえることにつながりますので、ぜひ、言葉を介しながら伝えてください。
言葉掛けのポイントは、ゆっくりと単語単語を話していくと理解しやすくなります。
個人的な食事介助の経験ですが二語文で話すと反応が良かった経験があります。
食べてほしいという想いがこもった言葉には力がありますので、重度認知症の人もご飯を食べてもらえます。
自分の言葉掛けを信じて食事介助をいたしましょう。
口腔体操・運動をする
重度認知症になると生活リズムが崩れたり、活動のバランスが崩れたりすることで覚醒状態に変動をきたすことがあります。
例えば、日中、十分な活動ができず、夜眠れず、昼食前に眠たくなる認知症の人がいます。
そのような認知症の人には、日中決まった時間に体を動かす・食事前に口腔体操を行うなどして生活リズムを整えることで食事摂取の改善になることがあります。
また、食事前の口腔体操を覚えてもらうことで、重度認知症の人に『もうすぐご飯なのね』と理解してもらうことになり覚醒状態があがり食事摂取の向上につながります。
食事形態を変えてみる
重度認知症の人の記憶に残っている食事というイメージと実際の食材が合うようにすることで食事がとれる方がいます。
白ご飯は食べないけど、豆ご飯なら食べるという方もいます。
それに自分に合った好きな食事だったら集中力もあがり、食事がとれるようになります。
自分の知っている・わかる食材を食べれると安心につながります。
認知症の人に合った食事形態に変えて食事を提供してみましょう。
場所を変える
周りの方が気になって食事に集中できず食べれない重度認知症の人がいます。
そのような場合は、周りの方々が視界に入らいないように席の場所を変えて食事に集中できるようにしましょう。
介護サービスの中で食事は楽しみの一つでもありますから、周囲の利用者さんらは話しながら食べることもあり、時には騒がしい時があります。
食事の場所が騒がしい空間だったら、食事に集中することがしずらく味も感じにくいでしょう。
食事の場所を変えてみることをオススメします。
環境調整する
⑤と同様に食事の際に周囲の方々、物音に気を取られて食事が思うようにとれない方がいます。
広い施設だと場所を変更することができますが、施設内が狭く場所を変更できない場合はパーテーションを用いて視界を遮断すると集中して食事がとれる方がいます。
パーテーションもそのまま置くと壁っぽくなるので圧を感じてしまうことがあります。
そのような時はパーテーションに造花の飾りをすることで圧を取り除けることができ自然でオシャレな空間に変えることができます。
このような穴があり、花を飾ることで癒やしの空間にもなります。
隙間があるので、圧迫感が軽減します。
もし、パーテーションで視界を調整する時は、穴があいたガーデニングとかで使う柵を活用することをオススメします。
ある程度視界が調整されていると安心に繋がります。
ずっと見られていると監視されているようで認知症の人も落ち着きません。
後方から食事介助する
食事介助の人に気が取られて食事がとれない重度認知症の方がいます。
そのような時は、食事介助の位置をやや後方に位置して食事介助することで食事のみに集中することができ、食事がとれることがあります。
また、食事だけに集中してもらうことで食事の認識力を高めることにつながります。
一緒に食事する
失行が影響して食事の手順・方法がわからない重度認知症の人がいます。
そのような場合は、目の前で介助者も一緒に食事をとり、食事方法を実際に見てもらうことで食べる認識を高めることができます。
それに一緒に食べることで重度認知症の人に安心感を与えることができます。
口角を下方・側方に下げる
重度認知症により、開口障害がある人がいます。
言葉での理解力が低下している場合は、皮膚からの刺激を利用して開口してもらうことも安心して食事を摂る方法の一つです。
口輪筋や頬部分、頸部のマッサージをしてから行うと開口しやすくなります。
開口幅が狭い場合は、平たいスポーンがオススメです。
深さがあるスプーンでは口の中に食材を運ぶ介助がうまくできないことがあるので、できる限り深さは浅く平たいスプーンが望ましいです。
認知症の食事介助・ケアの参考書籍紹介
認知症「食事の困った!」に答えます (絵で見てわかるシリーズ)
認知症の人の食事支援BOOK―食べる力を発揮できる環境づくり
まとめ
重度認知症の人が安心して食事がとれる介助方法9選はいかがだったでしょうか?
認知症の人が認知機能の低下をきたし、食事がとりずらくなってきたら、
まずは食事がとれない原因は何があるのか考えましょう。
次に原因に応じた食事介助方法で試していきましょう。
重度認知症の人が安心して食事がとれるように食事介助を繰り返していると動作分析もでき、その人に合った食事介助方法がみつかります。
今回、紹介した食事介助方法はいろんな組み合わせも可能です。
例えば、
食事の認識が低下してきていると思われる方には、
⑥環境調整する
①一つずつ出す
②食材を伝える
を併せて食事介助をすると食事が取りやすくなる場合がありますので、いろんな組み合わせで食事介助を試してください。
当ブログで認知症の人の支援方法をご紹介しています。
こちらも合わせて読んでいただくことで認知症の人の気持ちが理解ができて、認知症ケア・支援方法のバリエーションが広がります。
関連記事:認知症の方がカギをなくさない方法5選
今回の記事が重度認知症の人の食事介助にお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。