高齢者への声かけ例|自然に褒める・感謝を伝える3つの工夫

こんにちは、作業療法士の山口健一です。デイサービスや家庭で、高齢者の方に何と声をかければよいか迷うことはありませんか。

元のnoteでは「人を褒める習慣」を紹介しました。今回は、相手を評価するより、見つけたことや感謝を具体的に伝えるという視点で、声かけの例をまとめます。以下の会話は説明のための例文です。

褒めることを、認知症を治す方法にしない

「褒めれば脳が若返る」「MCIが改善する」といった効果を、ここでは保証しません。声かけは、目の前の人と心地よく関わるための工夫として考えます。

褒められることが好きな人も、照れる人も、子ども扱いされたように感じる人もいます。こちらの良い意図だけで判断せず、相手の表情や返事を見て言葉を調整しましょう。

高齢者への声かけに使える3つの工夫

行動を具体的に伝える、感謝を伝える、反応に合わせて押しつけないという声かけの3つの工夫
大げさに褒めることより、具体的な言葉と相手の反応を大切にします。

1.見つけた行動を具体的に伝える

「すごいですね」だけでは、何を見てくれていたのか分かりにくいことがあります。実際に見えたことを、一つだけ言葉にしてみます。

  • 「タオルの端をそろえてくださったんですね」
  • 「隣の方にも見えるように、カードを向けてくださったんですね」
  • 「もう一度、問題を読んで考えてくださったんですね」

できた結果だけではなく、その人が選んだやり方や工夫にも目を向けます。「年齢の割に」「ほかの人より」といった比較を付け足す必要はありません。

2.褒め言葉に迷ったら「ありがとう」へ

相手を採点するような言い方が気になるときは、自分が助かったことを伝える方法があります。

  • 「一緒に片づけてくださって、助かりました」
  • 「昔のお話を聞かせてくださって、ありがとうございます」
  • 「好きな歌を教えてくださったので、次の準備の参考になります」

ただし、していないことを褒めたり、頼みごとを断りにくくするために感謝を使ったりしないようにします。お願いするときは「今日はお願いしてもよいですか」と、本人の意思を別に確かめましょう。

3.返事が薄いときは、褒め言葉を増やしすぎない

笑顔が返ってこないからといって、さらに強く褒める必要はありません。「そうですか」と静かに受け止める、別の話題にする、少し待つ。その場に合う距離を探します。

疲れているときや人前では、言葉をかけられること自体が負担になる場合もあります。「聞いているだけでも大丈夫です」と、参加の仕方を選べるようにしておくと進行しやすくなります。

レクリエーションでは、正解以外にも目を向ける

脳トレの場では正解者だけに注目が集まりがちです。考える、問題を読み上げる、隣の方を待つ、気づいたことを話すなど、参加の形は一つではありません。

例えば言葉の並び替えなら、正解の早さを競わせる前に、全員で文字を読んでみます。「その言葉も思い浮かびましたね」と案を受け止め、答えが出ないときは問題数を減らしたり、ヒントを出したりできます。

言葉の並び替えゲームの実際の画面。表示された文字から言葉を考える
実際の言葉の並び替えゲーム画面。速さだけでなく、文字を読む・案を出すといった参加も大切にします。

使う題材を探している方は、穴埋め・並び替え・言葉探しの進め方をご覧ください。

「褒め合い」を行うときの進め方

私は元のnoteで、レクリエーションに褒め合う時間を取り入れていることを紹介しました。ただし、全員に必ず褒め言葉を言ってもらう必要はありません。話したい人だけ、職員から一言だけなど、その場に合う形に調整します。

  1. 職員が、実際にあった小さな行動への感謝を一つ伝える。
  2. 話したい方がいれば聞く。思いつかなくてもパスできるようにする。
  3. 良い言葉を競わせず、短く区切って次の活動へ進む。

「もっと褒めましょう」と課題を増やすより、いつもの会話の中に「助かりました」を一つ加えるところからでも十分です。

家族や職員が無理をしないために

毎回うまく声をかけようとすると、支える側も疲れてしまいます。言葉が出ない日は、相手の話を途中で遮らず聞くことから始めてみてください。反応が悪かったときも、相手や自分を責めず、時間帯や状況を変えるヒントにします。

この記事は、人を褒める習慣について書いた元のnote記事を、日常のコミュニケーションに使える内容へ整理したものです。文・構成:作業療法士 山口健一。

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ABOUTこの記事をかいた人

現在、デイサービスで作業療法士として働く傍らセミナー講師として県内外で活動中。アイデア1つで生活は豊かになるがモットーです。月刊デイやリハージュや活動と参加のリハビリ・訓練アイデア集に自身の生活改善のアイデア・リハビリ・レクリエーションについて寄稿。このサイトが、あなたの新しいアイデアにつながることを願っています。