高齢者の排泄に関する基礎知識・まとめ記事

いつもアイデアわくわくリハビリのブログを読んでいただきありがとうございます。
当ブログでは、ご病気を持った方やご高齢者の皆様の日常生活、介護・福祉の仕事をされている方々のお仕事が少しで楽しくなるような情報を発信していきます。

今回は排泄に関する基礎知識をまとめてみました。
それに加えて、排泄がしやすくなる道具や運動を紹介していきます。

はじめに

皆さん、日本人で便秘の有訴者数はどれくらいなのでしょうか ?
なんと、470万人以上といわれています(国民生活基礎調査 平成25年の資料より)
日本人の総人口が約1億2443万人くらいですので、1人/26人の計算になります。
男女比率としては男性を1とした時、女性は約2倍くらいの割合です。
高齢になるに連れて便秘症の数は増えていきます。
特に男性も女性と同等くらいになります。
また、通所系サービス(通所介護・通所リハ)などをご利用されている方の多くに排泄障害を持たれている方がいらっしゃいます。
通所系サービスを使われている高齢者の方で『下剤を使っているから大丈夫』『どうにか出ているから大丈夫』というご意見をよく耳にします。
これらの意見を参考にすると、排泄障害の認識が薄いことが推測されます。
それに排泄のことは相談しにくいことが考えられます。

便秘って?

便秘の定義とは
『3日以上排便が無い状態、または毎日排便があっても残便感がある状態』
だそうです。(https://ja.wikipedia.org/wiki/便秘)
体の中に排泄物が溜まっていくと全身に毒素が循環するようになります。
そうすると体調を崩したり、免疫力が低下して病気にかかりやすかったりします。
便を作る腸はには、全身の6割から7割の免疫機能が集まっているのです。(腸管免疫
それに加えて腸の動きが悪い場合、うつ病になりやすいとも報告があります。

人が便秘だと感じる症状はさまざまです。
・便が出ない
・排便の回数が少ない
・便の量が少ない
・便が硬い
・いきまないと出ない
・お腹がはる
などなどです

便秘の種類はこちらから

便秘の要因

便秘の要因としては下記のようなものがあります。
運動不足、姿勢不良、偏った食事、服薬、ストレスなどなどあります。
高齢者になるとこのような要因が複合的に関係してきます。
ですから、一つだけでのアプローチではダメということが多いです。

排便するまでのしくみ

口から入った食物は胃と十二指腸でペースト状態になってから小腸へ送られます。
小腸から大腸まで4時間くらいかけて内容物は移動します。
大腸から直腸までは18時間くらいかけて水分を吸収し、便となって到達します。
理想の便の大きさはバナナ1本分です。

年代別における便秘特徴

各年代別に特徴をご紹介いたします。

 40代

女性は自律神経の乱れとともに便秘傾向になることが増えだす年代。
特に副交感神経の働きが低下しやすいといわれています。

男性は消化機能の低下に伴い、仕事のつきあいで食べ過ぎたり飲み過ぎたりすることで便になることがあるようです。
また、男性は神経質になる方が多いので下痢する方が増えるそうです。

 50代

男性の便秘で悩まれる方が増える傾向にありこの年代になると男女比は少なくなるようです。
運動不足や食事の偏りによってなる方が増加するようです。

 60代

この年代になると50代に比べて筋肉や神経の働きが低下してきて便秘になる方が増えるようです。

 70代

60代頃に加えて筋肉や神経はの働きは弱くなります。
それに加えて食欲が低下してきます。
また、降圧剤・抗うつ薬を服用していると蠕動運動をおさる働きがあり便秘傾向になりやすいようです。

 男女比

40代までは女性に多い傾向にありますが、それ移行の年代では徐々に男女差はなくなるようです。

生活習慣を変えるだけで便秘が改善

 食事

食物繊維の多い食材を摂取しましょう。
一日に必要な食物繊維は20gと言われています。
食物繊維は消化しきれず、蠕動運動を活性化してくれるものです。
種類としては、水溶性と不溶性があります。詳しくはこちらを参

それとオリーブオイルをオススメします。

オリーブオイルのオレイン酸が腸の蠕動運動を促進します。

それと便が柔らかくなり排泄しやすくなります。

オリーブオイルはヨーグルトに混ぜたり、味噌汁に混ぜたりと簡単に摂取できます。

 水分

水分不足で便が固くなることがあります。
一日に必要な水分摂取量は約1リットル
一回に摂取する量は200ml以下が望ましい
※それ以上に摂取すると体内で吸収する前に尿として排出されてしまいます。
飲みすぎると下痢になることもあります。

朝起きたらコップ一杯の水を飲むことをオススメします。

胃に水が入ることで腸の蠕動運動が始まるからです。

運動療法で便秘解消

便秘に運動が有効な理由

運動することによって腸の活動が活発になり蠕動運動が促進されて排泄が促進されます。
特に鍛えたい筋肉があります。
それは、腸腰筋と体幹筋・骨盤底筋群です。

腸腰筋の役割として股関節の屈曲と内臓の引きあげ・腸への蠕動運動促進があります。
腸腰筋が低下すると内臓が前方へ出て、内臓の位置が偏り排泄機能の低下します。
この腸腰筋を強化することで内臓の位置が正しくなり、蠕動運動が促進されるようになります。

体幹筋を鍛える目的としては、排泄する時のいきみに関係してきます。
排便するときにいきんでも、圧が十分にかけられないと排泄がうまくできません。
この体幹筋を鍛えることで腹圧を高めることにつながり便が出やすくなります。

骨盤底筋群を鍛えることで腹圧がかけられるようになり、失禁防止につながります。

 ストレッチ編

腸腰筋の動きが固くなると腸の動きが悪くなります。
腸腰筋の動きを良くしておくと蠕動運動が促進されます。

ストレッチ時間は30秒位までにしてください。

痛みがある場合はやめるようにしてください。

呼吸は腹式呼吸を意識してやりましょう。(無理はせずなれている呼吸方法でもOKです)

理由としては、自律神経の調整に効果的だからです。

方法

壁に両手をつき、上記のポーズをとります。

骨盤を突き出すことで後方に位置した足の腸腰筋がストレッチされます。

仰臥位で骨盤部にクッションをいれることで股関節が伸展されて腸腰筋のストレッチになります。

上半身と下半身を半単方向へひねることで腸に刺激を加えて運動を促します。

仰臥位で膝を抱えることで伸ばしている足側の腸腰筋がストレッチされます。

 筋トレ編

筋トレをすることで筋肉の収縮と弛緩を繰り返します。
結果、血液の流れが良くなります。
血流が良くなると筋肉に栄養が多く届くようになります。
また、筋肉に溜まっていた老廃物や痛みの物質が流れて筋肉の状態が良くなります。
腸腰筋を鍛えることで腸の動きも活発になり、便秘の解消になります。

筋トレ時は呼吸を止めないようしましょう。

理由は、血圧の上昇や交感神経の活性化につながります。

できる限り腹式呼吸を心がけましょう。

方法

座った姿勢で太ももをあげます。

できる方は上げた膝部分を手で下方に押し、抵抗運動でやってみましょう。

より効果的に刺激を加えることができます。

四つ這い位から右手と左足を上げ姿勢を保持することで体幹筋を鍛えることができます。

難しい方は手のみ、足のみだけでもかまいません。

できるポーズからはじめていきましょう。

排泄が楽に行える道具:発泡スチロールブロック足台

骨盤が前傾位、股関節の屈曲角度が増すことで恥骨腸腰筋が緩み、排便がしやすくなります。

膝に肘を起きやすくなり、いきむ姿勢をとりやすくなります。

発泡スチロールブロックのため非常に軽く設置が簡単です。

自分が排泄しやすい位置に配置しやすいです。

100円ショップで購入可能です。

他にもこのような商品が開発されています。

便利な道具ですのでご紹介します。

便座補助台トイレ踏み台 高さ17cm  便秘解消

まとめ

本稿では、排泄に関する基礎知識をご紹介しました。

排泄の悩みはとてもデリケートなもので誰にでも相談できる内容ではありません。

また、便秘症を放っておくと癌にもなりやすいと言われています。

排泄(便秘)は生きていく上でとても重要なことですので、しっかりと向き合うことが大切です。

今回の内容が排泄に関する興味や理解に深まり、排泄に関する悩みなどが少しでも改善されますように。

最後まで読んでいただき誠にありまがとうございます。

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ABOUTこの記事をかいた人

現在、デイサービスで作業療法士として働く傍らセミナー講師として県内外で活動中。アイデア1つで生活は豊かになるがモットーです。月刊デイやリハージュや活動と参加のリハビリ・訓練アイデア集に自身の生活改善のアイデア・リハビリ・レクリエーションについて寄稿。このサイトが、あなたの新しいアイデアにつながることを願っています。