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アイデアわくわくリハビリのブログでは福祉や介護や医療の職場(デイサービス、デイケア、小規模多機能など)で働かれている方々、認知症の人、脳卒中の人、ご高齢者の皆様のお役に立てるような情報を発信しています。
今回は、認知症の人の生きがいにつながる作業療法について、文献(事例報告)・書籍と生きがい活動8選をご紹介します。
目次
認知症の人の生きがいにつながる作業療法について
認知症の人の生きがいにつながる作業療法については、
- 認知症の人の生きがいにつながる作業療法とはどんなのものなのか?
- 生きがいにつながる作業療法の必要性
- 生きがいについて
- 認知症の生きがい活動8選
- 生きがい活動が社会貢献活動につながる
の項目に沿ってお話したいと思います。
認知症の人の生きがいにつながる作業療法とはどんなものなのか?
まず、認知症の人の生きがいにつなげるためには、認知症の人の生きがいの度合い(程度)を知る評価が必要です。
作業療法では、その評価結果をもとに認知症の人の気持ちに寄り添い、残存能力を活用し生きがい活動の提供・ご支援を行います。
評価を行い、作業活動を提供・一緒に行なうことが認知症の人の生きがいにつながるのです。
これが認知症の人の生きがいにつながる作業療法です。
認知症の人の気持ちを知るためによく使う評価用紙があります。
個人的によく使う評価用紙は、
- 興味関心チェックリスト
- 高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法
です。
※興味関心チェックリストはリハプランのサイトから確認できます。
※高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法を考案された作業療法士の本家寿洋先生は、この評価用紙を使うことで個人の人生史を知ることになり、問題への自己開示・自己確認が促されADLの改善、BPSDの改善へつながっていくと言われています。
高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法の有効性について、以下の文献で紹介されています。
掲載の許可は本家先生より頂いていますので要旨と文献名をご紹介します。
要旨:抑うつ気分を示す高齢女性に対して予備的に作成した高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法を実施した結果、ハガキという楽しい作業を自ら発見し、内発的な動機づけによりハガキの記載を再開した。これをきっかけに事例の活動量が増加し、調理や機能訓練にも積極的に取り組み、今後の生活における作業選択が可能となった。この著明な変化は楽しさの想起によって意思を身体から作業へと自然に向けることができ、将来の絶望感や不安ではなく、今できることに取り組むことができたらと考えた。そして葉書への作業参加が溜め込まれていた苦しい思いを解放し自身を見つめ直していく過程の中で作業を選択が語られたと考えた。
引用元:作業行動研究18:152-161、2014 『高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法』の実施が自己効力感の改善と作業選択の支援に役立った事例 日谷正希 本家寿洋 山田孝
要旨:認知症があり人工関節の脱臼を繰り返し帰宅願望などの BPSD が見られたAさんに高齢者版興味チェックリストと高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法を実施した。評価から一番楽しみな作業が畑仕事であることを確認し、畑仕事での身体の使用さや楽しさ評価で得た情報を話題に取り入れて機能訓練を実施した。その結果、Aさんの起居・移動動作が改善し BPSD や主観的幸福感に関する QOL が改善した。これらが改善した要因は、興味と楽しさの詳細な評価によりAさんのやりたい畑仕事を実施できたこと、過去の畑仕事を語りながら機能訓練が楽しく実施できたこと、過去の畑仕事の楽しさが現在の畑仕事の楽しみへと広がり、楽しみが継続したことであった。
引用元:作業療法 35:74〜82、2016 高齢者版興味チェックリストと高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法の使用によりBPSDやQOLが改善した認知症の事例 有田史則 本家寿洋
文献では評価用紙を活用することで、その方にとって意味のある作業を提供することにつながったと述べられています。
さらに文献を読みますと症例らは作業活動を通じて、ADLの向上、BPSDの改善がなされたとあり、さらに楽しさが見つかったなど作業自体が生きがい活動になったと考えられます。
そして、作業活動が治療効果があることを述べられています。
山口もリハージュVOL.4で通所介護で高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法を活用することが高齢者の心身機能の維持・改善になること、ADLの改善になった事例を寄稿させていただいています。よかったら読んでください。
また、月刊デイVOL.201.2016.9月号では、認知症の人の入浴拒否が改善した事例報告をしています。
引用元書籍会社:QOLサービス
生きがいにつながる作業療法の必要性
次に生きがいにつながる作業療法の必要性についてお話します。
なぜ、認知症の人の生きがいにつながる作業療法(作業・活動)をしないといけないのでしょうか?
記憶力に良い学習療法・見当識訓練をすればいいのでは?と思う方もおられると思いますが、
認知症の人は生きがいだったことを死ぬまでやることで自己認識が高まり人生の喜びとなり、日常生活に張りが出て、結果、自分らしく楽しく日常生活を送ることにつながるからしないといけないのです。
それに生きがいだった活動をすることで、心身機能の向上となり、トイレや食事や更衣や入浴などのADL(日常生活動作)の介助量も軽減にもつながります。
また、ADL介助量が減ることで住み慣れた場所で自分らしく生活することの継続になっていくのです。
だから、認知症の人の生きがいだった活動を作業療法として提供することが必要なのです。
作業療法士は評価をもとに認知症の人の生きがいを細かく分析し、その人に合った方法で生きがい活動ができるようにします。
生きがいと認知症による生きがいの変化について
次に人の生きがいについてお話したいと思います。
生きがい
生きがいとは、
- 生きるに値するもの、
- 生きていく張り合いや喜び
とされています。
認知症による生きがいの変化について
認知症になると記憶の低下に伴い、できないことが増え生きがいに変化がでます。
できないことが増えると日常生活は不活発となり心身機能の低下につながり、生きがいだったこともしないようになり思考や感情が悪い方向へと変化していきます。
しかし、生きがいの喜びなどは覚えていることが多いです。
なので、認知症の人の記憶にある生きがいだった活動を行なうこと、または思い出すことができれば、認知症の人は喜びを感じ脳からドーパミンが放出できモチベーションが向上しやすくなり、生きがいに良い変化をもたらすことができます。
生きがいに良い変化が現れると認知症の人は笑顔が多くみられるようになります。
職員さんは常に認知症の人の表情を見ておくことで生きがい活動の支援になります。
認知症の生きがい活動8選
次は認知症の生きがいとなりやすい活動8選についてご紹介します。
この項では作業活動の特徴について記載いたします。
作業活動内容ががデイサービス、通所リハなどで行なう生きがい活動の参考になったら幸いです。
それと山口晴保先生の著書、認知症予防読めば納得!脳を守るライフスタイルの秘策の中で活動・運動が効果があることを述べておられますので下記に紹介する活動はエビデンスが高いと言えます。
フィットネス(散歩、ガーデニング、子供と遊ぶ、ハイキング、掃除など日常生活で行なう動作)は筋持久力を高め認知症予防になる。
また、活動を通して、支援者が『良くなってほしい』という熱意が相手に伝わり、元気する。
引用元: 認知症予防─読めば納得! 脳を守るライフスタイルの秘訣─
掃除
掃除の特徴は上肢・体幹・下肢の筋力をまんべんなく使う全身運動(有酸素運動)になります。
掃除機がけは掃除機のヘッドを前後に動かす・左右前後に移動するなどでバランス能力が鍛えられます。
また、施設が掃除活動で綺麗になることで職員・利用者から感謝されることで達成感が得られます。
それに掃除活動で人の役に立てたと実感することでやりがいや生きがい・役割を持つことにつながっていきやすい活動です。
認知症の人が自分にできる掃除活動をすることで達成感が得られ役割も持てることが尊厳の維持になります。
料理
料理活動の特徴は、環境調整次第で調理は座っても、立ってもできます。
施設で作った料理を持ち帰って家族の方に食べてもらい、『美味しい』『また、お願い』などの嬉しい感想をもらうことで生きがいにつながりやすいです。
自宅では1人で調理すること・火を使うことに不安を感じている高齢者の方は、施設で調理することで職員さんに手伝ってもらったり、利用者同士で協力して作ったりすることができます。
中等度の認知症の方でも包丁を持てば、昔馴染みの活動であったこともあり、シャキッとされる方もおられます。
また、ご家族の方を施設に招いて一緒に調理をすることで、その方の調理能力を知ることができたり、自宅で一緒に調理するイメージができ、自宅の活動に反映しやすいです。
ご家族が施設に来ることで認知症の家族(夫・妻)とスムーズに調理を進めるアドバイス・コツを見て聞いて学ぶことができ、調理動作の安心になります。
洗い物
洗い物の特徴は、目と手の協調した動作を鍛えることができる活動です。
自宅では、食器に洗い残しが有るとさせてもらえなくなることがあります。
施設で、洗い物をすることで、洗い残しを減らすことができる方法を練習でき、自宅での役割獲得につながります。
食器は漬け置きしておくことで洗い残しが減りますので、自宅で実践するのにオススメです。
自宅でもしっかりと漬け置きして洗い物ができることで家族にも認められて自信の回復にもなります。
洗濯物干し・たたみ
洗濯物干し・たたみの特徴は、誰しもが経験したことがある活動で、簡単な作業です。
この活動の良いところは、過去に経験したことがある活動ですので、活動に対して説明が必要なく、誰でも取り組みやすいことです。
デイサービスで洗濯物干し・たたみの取り組みやすい環境設定は、洗濯物カゴと洗濯物干しラックを置くことです。
洗濯物カゴを置いていると自然に誰かがやってくれます。
また、その洗濯物干し・たたみをやっている姿を見て周りの方も一緒になっておこなってくれます。
洗濯物干し・たたみを一緒に行なうことで、会話がはずみ、仲間作り・友達作り・社会性の交流などができます。
デイサービスで洗濯物干し・たたみ活動をご家族にも伝えることで、自宅での役割獲得にもつながりますので自宅での生活機能を向上させる活動としてオススメです。
畑仕事(野菜作り)
畑仕事と言ってもたくさんありますので、本項では、野菜作りについて書きます。
野菜作りの特徴は、野菜の苗が育ち、実がなる過程などの成長を観ることで『自分も頑張らないと!』と思い、モチベーションが上がりやすい活動です。
野菜の収穫ができると本当に嬉しいです。
苦労して育ててやっと収穫できた時の喜びは本当に感動です。
また、その収穫した野菜を持って帰ることでご家族にも喜ばれます。
野菜作りには、しゃがむ・立つ・掘る・取る・握る・放す・話すなど日常生活に必要な動作の練習ができ、生活機能向上になる活動です。
それに加えて、自宅でもやっていた方、仕事で農家をされていた方は、自宅から道具を持参されたり、苗や肥料を持ってきたりすることがあります。
野菜作りでは、自分の持ってきた道具や苗や肥料を使うことでより興味関心・やる気が向上し、生きがい活動になりやすいです。
野菜作りは、職員さん主体でするのではなく、参加される方々が能動的になられるよう支援することが大切です。
木工活動(日曜大工)
木工活動の特徴は、木材で作品を作る際は加工に技術を要します。建築関係や趣味で日曜大工をされていた男性に向いています。
バルサ材などを活用することで力の弱い女性でも木工作業をすることはできますが、女性の方で木工をしたいと言われる方は少ないように思います。
なので、男性の高齢者で黙々と作業に打ち込みたい方に提供することが良いと思います。
しかし、高齢にもなると男性も筋力・体力が低下し、思っていたように木工活動ができないこともあり、自信の喪失になることもありますので注意しましょう。
自信の喪失をさせないように他者と協力して作れるモノに取り組みましょう。
デイサービスでは、棚やカゴや積み木・タングラムなどを作って、お孫さんや地域の子供達(小学生・園児)にプレゼントすると喜ばれます。
木工活動は創作・加工過程が大変ですが、作品を完成させた時の充実感はとてもあります。
また、その作品が誰かの役に立てていることが実感できると『役に立つモノを作りたい』と創作意欲がわきやすく、生きがい活動としてオススメです。
買い物
買い物の特徴は、自分の生活に必要な物を自分の目で見て買うという興味関心を引き出しやすい、歩行訓練ができます。
リハビリ室やデイフロアで”しっかりと歩けるようになる”という漠然とした目標を立てて歩行練習するよりは、スーパーやショッピングモールに行き”今日は洗剤と食材を買う”という明確な目標を立てカートを使い歩行をするほうが歩行距離拡大・持久力向上に効果があります。
それにスーパーに買い物に行けば、旬の食材を見ることで季節感を感じられて、見当識などの認知機能の向上にもなります。
買い物活動で注意しなければいけないことがあります。
それは、食材に気を取られて周囲の確認不足になり、他のお客さんとぶつからないようにしないといけません。
また、食品棚の間の通路は広くありませんので、中央を歩行すると他のお客さんの買い物の妨げになる場合がありますので食品棚よりを歩く方が良いです。
もし、感じの悪いお客さんから『邪魔!』なんて言われたら、楽しい買い物活動が台無しになってしまいます。
職員さん(セラピスト)は、他のお客さんとの兼ね合いも考えつつ、買い物活動の支援をしていくことで認知症の方も楽しく買い物ができ、意欲の向上になります。
ご家族から『今日は牛乳とゴミ袋を買ってきて』と頼りにされて買い物が達成できると自信になり、自宅での役割を持てて生きがいにつながりやすいです。
最近では、カット食材・焼くだけで調理ができる食材が販売されており、夕飯作りにお役立てる材料も買うことができます。
献立に合わせた食材が販売されてて、とても便利ですね。
包丁も使わず食材のゴミも出さず簡単に調理ができるとご家族も喜ばれますよね。
油も必要ないのですね〜!簡単手間いらず!
買い物にはこのような発見があるのでとても楽しくなりますね。
認知症の人と一緒に買物に行き、『今日は何か特売はあるかしら?』と胸を踊らせてください。
裁縫・雑巾作り
裁縫・雑巾作りの特徴は、針仕事で昔繕いモノなどをよくされていた方、女性に向いている活動です。
裁縫活動でオススメしたい裁縫作品は、雑巾です。
雑巾は汎用性が高く、掃除活動の時にとても役立ちます。
雑巾は、100円ショップにも売っていますが、生地が薄い場合があります。
やはり、使い古したタオルを使い、雑巾を作ることが一番良い思います。
それに雑巾作りは過去の体験で経験したことがある高齢者の方が多くいらっしゃるので活動を細かく説明することがなく、取り組みやすい活動です。
それに針に糸を通してもらいさいすれば、『雑巾縫えるよ』という方が多くいらっしゃいます。
手慣れた作業活動で昔のことを思い出したり、グループで雑巾作りを懐かしんだりしながら行なうことで長期記憶へのアプローチにもなります。
施設で作った雑巾を小学校や中学校などに寄付することで、掃除の時間に使ってもらったりすることで、役に立てていると感じてもらいやすくなります。
もちろん、自宅に持ち帰って掃除の時に使ってもらっても良いです。
生きがい活動が社会貢献につながる
認知症の人の生きがい活動を施設内の活動、個人の活動で終わらせるのではなく地域へ広げていくことで社会貢献になります。
例えば、認知症の人が作った雑巾を地域の学校に寄贈する。
寄贈した雑巾を掃除の時間に使うことで生徒も先生も喜んで使ってもらえます。
また授業の中で先生が認知症の人が雑巾を作った経緯などを話すことで、生徒さん達に認知症の人の気持ち理解することにもつながっていきます。
幼少の頃からこのようなことを知っていると認知症の人、おじいちゃん、おばあちゃんに優しく接することができるようになりますね。
このように生きがい活動を学校に寄贈することで認知症があっても生きがいを感じてもらえて社会貢献ができるのです。
また、家族の方からも活動を認められ、褒められることにつながりますよね。
施設内で雑巾を使うことも職員さんのためになる・会社のためになるなど、社会貢献につながります。
まとめ
認知症の人の生きがいにつながる作業療法・活動7選はいかがだったでしょうか?
この記事で伝えたかったこと
それは、認知症になっても自分にとって生きがいとなる作業活動を継続できることで元気になれるということと認知症の人の生きがい活動を支える作業療法の魅力を伝えたかったのです。
今回の記事があなたの介護現場で認知症の人の生きがい活動・日常生活のご支援にお役立てたら嬉しいです。
作業活動を通じて認知症の人、高齢者の方、脳梗塞の方が元気になることが書かれている書籍をご紹介します。
こちらの書籍ではたくさんの事例報告されていますので認知症の人、高齢者の方、脳梗塞の人が元気になる方法やきっかけ、ヒントがみつかると思います。
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何かしらのお役に立てるのではないかと思います。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
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