こんにちは、作業療法士の山口健一です。「最近、親が何をするにも面倒くさいと言う」「好きだった趣味に手をつけなくなった」。そんな変化を見ると、年齢のせいなのか、認知症のサインなのかと心配になりますよね。
意欲が下がったように見えることだけで、MCIや認知症とは判断できません。本人を怠けていると責めず、いつから何が変わったのかを整理するところから始めましょう。
目次
「面倒くさい」だけで脳の状態は決められない
元のnoteでは、物忘れだけでなく意欲の変化にも目を向けることを紹介しました。一方で、「海馬より先に前頭葉が衰える」と、すべての方に共通する順序として説明することはできません。日常の一言から、脳のどの部分が低下したのかを推測するのも避けたいところです。
国立長寿医療研究センターは、以前の趣味に関心がなくなるなどの変化を、相談を考える際の例として挙げています。大切なのは、一つの行動を病名に結びつけることではなく、以前との違いや生活への影響を確かめることです。
MCIは、本人や家族だけで診断するものではない
MCIは、認知機能の低下がありながら、日常生活はおおむね自立している状態を指します。認知症と同じ意味ではなく、経過も人によって異なります。「やる気が出ない」「ゲームが解けなかった」ということだけで判断しないでください。
家族が書き留めておくとよい4つのこと
本人に毎日テストをする必要はありません。普段の生活の中で気づいたことを、短く具体的に残します。
- いつから:数日前からなのか、数か月かけて変わったのか。
- 何が変わったか:趣味、買い物、料理、会話など、以前との違い。
- どんな場面か:朝だけ、外出前だけ、人が多い場所など。
- 本人はどう感じているか:疲れる、痛い、聞こえにくい、不安など、本人の言葉。
例えば「最近だらしない」ではなく、「以前は毎週していた花の手入れを、この1か月していない。本人は腰が痛いと話している」のように書くと、相談時にも状況を伝えやすくなります。これは説明用の例です。
物忘れには、認知症以外の要因もある
米国国立老化研究所は、記憶の問題に関わる要因として、気分の落ち込み、睡眠の問題、薬の副作用なども挙げています。心配な変化が続く場合は、自己判断で「認知症だから」と片づけず、医療機関で原因を確認することが大切です。薬を自分で中止することは避けてください。
参考:米国国立老化研究所「Memory Problems, Forgetfulness, and Aging」
誘うときは、活動を小さくして選べる形に
「外に出ないと駄目」「脳トレをしないと」と急かすと、本人がつらさを言いにくくなることもあります。まずは「今日は疲れていますか」「何が面倒に感じますか」と聞きます。
活動を試すなら、「全部やる」以外の選択肢を用意します。好きな歌を一曲聞く、写真を一枚見る、問題を一問だけ眺める。断ってもよい、途中で終わってもよいことを伝えてください。

題材の例は、高齢者向け言葉の脳トレ3種類でも紹介しています。ゲームを勧める前に、本人が興味を持っているか、文字が見えるか、疲れていないかを確認しましょう。
気になる変化は、かかりつけ医へ相談する
以前との違いが続く、生活に困りごとが出ている、本人も不安を感じている。そんなときは、かかりつけ医やもの忘れ外来へ相談しましょう。「認知症かどうか決めてもらう」だけでなく、困っている原因や支援を一緒に考えるための相談です。
受診時には、気づいた変化のメモや服用中の薬が分かるものを持参すると説明の助けになります。家族だけで抱え込まず、相談先が分からない場合は地域包括支援センターなど地域の窓口に尋ねる方法もあります。
この記事は、意欲の変化とMCIについての元のnote記事を、相談と日々の関わりに役立つ内容へ整理し直したものです。文・構成:作業療法士 山口健一。








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